7月1日 _ クレームの決着

 
クレームの発生していた製品納期遅れの案件で、ユーザーからの
要求により製品に付属する膨大な量(自分にとっては)の英語の資料を
和訳するという作業が発生していた。普段から深夜残業マイラブな日常を
送っている僕だが、これにより毎日平時より1時間早く起きて会社に行き、
その日のタスクを終えた後に更に1時間和訳作業に時間を割く。
そんな日がここ2週間くらい続いてた。あと少しで提出できる。
目途が立ちそうな頃合いまでは来てた。


が、結局キャンセルになった。
日商社の担当から一本の電話があり「残念なお知らせがあります」
その後、キャンセルの話を告げられた。製品は着払いで返送すると。


何だよと思った。ここまでしてやったのにという思いがあった。
でも、一方仕方ないと思った。当たり前の話だ。


自分も忙しさにかまけたり、和訳作業は、本来なら注文内容には
一切含まれないものという意識があった。
だからか、作業へのとりかかりは正直おそかった。英語が苦手なこともあったし、
それ以外のタスクも捌ききれない程たまっていて、深夜残業の連続で仕事の
ミスも増えていた時だったから、商社とエンドユーザーには
「2か月ほど(納期は)見て欲しい」という一旦の回答をしていた。
今振りかえってみると、あの時の回答は”逃げ”だったかなと思う。


苦手な英語の和訳だけでなく、その内容自体が自分が門外漢である分野の
技術的なものだったから、そっちの資料の読み込みにも膨大な時間が
かかると思ったから2か月かかると答えた。


でも、今思えばあの法外だと思えたクレームは「本来なら即刻キャンセルだが
チャンスをやる」って意味での話だったように思う。やる気を見せろ、誠意を
見せろって意味の話で内容までは問われなかったのかも知れない。というか、
今はそう確信してる。


「クレームがついたときこそお客様を自分のファンにするチャンス」
正直、そんな事くらい知ってるくらいの気持ちでいた。だから、商社から
ユーザーが怒ってるから一緒についてきて謝って欲しいと言われた時に
ホイホイついていった。軽い気持ちだった。


だけど、それを結果に結び付けるような行動に移せる段階までは
理解できていなかった。つまり何も分かってなかった。及び腰、気持ちは
いやいや。そこをユーザーに見透かされたのだと思う。そして、それは
否定できない。だから仕方なかった。まだまだ甘々な営業マンです俺は。


今回の件はかなり悔しい。もし次があったら、その時は
この経験を絶対に活かしたい。上司には肩の荷が降りたなってニヤニヤ
笑われた。上司なりの気遣いなんだろうけど、複雑な気分だ。
あんまり悩むなって意味くらいに受け取ることにして、まぁ明日から
気持ちを入れ替えてがんばろう。



fin.