はてな村反省会に参加した

そもそもがid:kanoseさんへ是非参加したいですというメールを衝動的に送ってしまった直後から後悔をしていた。前のはてなidを消し、更には同名のTwitterアカウントを消してからも久しく、その状況で同じ場に顔を連ねることへの気おくれがあった。kanoseさんから参加について快諾のメールを貰ったあと、必死にid:murashitへ参加をしろ、参加したらラーメン奢るという囲い込みに奔走したが…。murashitからはついぞ良い色の返事を貰えることはなかった。俺の知り合いには最早、年齢の上下関係のみでは従えることのできる人間が居なくなっていた。なんてことだ。この孤立無援感。ハックルベリーに会いに行く。この言葉に対する覚悟は一切できていなかった。そんな状況で参加の約束をしてしまった事実に俺は震えた。西野カナとは真逆の理由、会いたくなくて。


岩崎夏海こと、ハックルの人については一方的に知っていた。はてなを辞めた後に購入したビジネス啓発小説が一冊手元にある。一度だけ読んだ。感想は省くが、普段の社畜生活によって抑圧された感情のなせる業なのか、何でもないようなところで涙が流れたのだけ覚えている。どういう感情の動きかは自分でも細かく分析はしていないが「年を取ったから」この一言で何となく説明がつくような気になって終わった。作品を評価すること自体ためらうのは、その時のネット評価、ハックルベリーは叩くもの、かの本の中身の無さをどれだけ説得力のある言葉で指摘できるかが、自分の狭い観測範囲内での流行だったから。それらの文章を自分は面白おかしく読んだものだし、その文脈こそがはてな村に所属する村民(笑)の共通認識だと察知していた。自分には、もしドラないしは岩崎氏を題材にして他者が面白おかしく読んでくれるような力のあるカウンターパンチを放つ筆力や頭を持っていない。なので黙る。一周して無関心を装うことが恰好いい気がした。ハックル先生は狂人であり、安全な檻の中に閉じ込めて遠巻きに楽しむべき存在なのだ。歩み寄らないのがクール。冷静に周りを見て、メタブクマをすること。これがお洒落なはてな村民の振る舞い方なのだ。役を演じよう。




会場であるルノアールは異質な空気に満ち満ちていた。扉の向こうにましますは、かのベストセラー作家である岩崎大先生。テーブルの上、碇ゲンドウの居住まいで、参加者一同を睨め回す。値踏みしてるのだろうか、僕の値段は147円………いや、プライスレスです…。
ネットから意識的に距離を置いている自分が、このはてな村反省会という場に身を投じた時、そこで感じる所在なさは自分以外の誰とも共有できない。あえて共有しようとするならば、友人に招かれて参加した結婚式で、何故か、当日スーツは全てクリーニングに出してしまっていて、着ていく服がサイズの小さなスクール水着しかなかった、、、みたいな感じ。要は誰にも分かってもらえない恥ずかしさ。恐らくは「あいつ何でこの場に居るんだろうゲラゲラ…」「hebomegane?はてな村民?誰だっけ?ああ、非モテの…。気持ち悪い人か」心の声を聴いた自分は先生から一番距離を置いた場所を一目散に目指し、そして陣取ることに成功した。隣にid:inumashが居たのは僥倖だった。
そして会は始まり、僕は自分の所在なさを埋めるため、ハックル先生の会話の合間合間に時折くわわる笑い声の役周りを一生懸命こなした。その内に終了の時間が来た。



自分は何一つ意見を言わなかった。そうすることで当初の目的は果たした。
だが、言論や思想により人の存在を示せる、このはてな村において、この行為に意味はあったのか?それならお前は何をしにきたのか?
そんな声が聞こえてきたので俺は二次会、三次会と人よりも早いペースで酒を飲んだ。この努力のおかげで俺は、よくビールを飲むはてな村民として存在を示すことができたんじゃないかと思う。はてな村反省会に参加して収穫のあったこと。それは、あの場の中で俺は一番ビールをよく飲んだという結果だ。あんな魑魅魍魎の蠢くはてな村の中でよくやったと自分で自分を褒めてやりたい。だから、murashit。俺はいま一度、君をラーメンに誘うよ。俺ははてなで一番ビールを飲む男の称号を得たんだ。君にふさわしい男になった。早くラーメン食べに行こう。もちろん俺の奢りで。あと、そうそう。murashit。君に一つ伝言があるんだ。犬紳士( id:Lobotomy)が「現場に来ないで家で見てんじゃねえよ、死ね!」と言っていたよ。もちろん僕は君に生きて欲しい。今日も明日も。この先の未来も。