5月25日、本日は晴天なり。


ずいぶん昔の話をしようと思う。大学に入ったばかりの頃の話だ。
当時の僕は非常に屈折していた。受験で僕はすべての志望校に落ちた。
落ちに落ちたが、ぎわのぎわ。三月も中頃になってようやく一つの大学から
合格の報せが届けられた。


まぁいわゆる三(四)流私大。
入りたかった大学から飛車と角を落して、更に香車と桂馬も没収されてしまった
みたいなレベルの大学だ。


本当はあと1年勉強して志望校に行きたい。そんな思いでいたが当時の自分には
更に1年間、浪人するような金銭的な余裕なんてなかった。泣くみたいな思いを
したけど腹を決めて入った。今となっては上手く言葉にできないけど、色んな葛藤も
あったしすごく悩んだ。でも入ることにした。


入学手続きの書類提出が完了したのは時間制限ぎりぎりだった。受付の人には
「間に合ってよかったですね」って。権利を失効しなくて、まぁ良かったねという
ことだと思うけど、良かったというか、良くなかったというか、コンプレックス。


僕はああ本当に入ってしまったんだな…みたいなそんなことを思った。
これで自分はこのランクの人間だって決まってしまったような、後戻りができないところまで
行ってしまったんだという軽い絶望。


そして大学は始まった。入学式やオリエンテーションの類は全部すっぽかした。
一人で遊びに出たり(ゲーセンとか図書館とかラーメンとか)、バイト
(古本屋、ペンキ塗り、山奥でドコモのアンテナ設置工事)に行ったりしていた、
学校には行かず。


そんな日々を過ごしていたら暫くして「あなた単位なにとる。決めないと行けない。
このままだとダメ絶対」または「出席日数足りないのは最低です。そんな人は学校に
いられなくしてあげるんだから!」みたいな旨、あんまりはっきりとした記憶はないけど、
そんな感じの否定的な内容を極めて丁寧な言葉づかいでしたためた一通の封書が、
自宅に届けられた。両親がそれに目を通し、僕は勤勉な学生に生まれ変わった。


翌日から皆勤賞の勢いで大学へ毎日通うようになった。しかし苦痛。何をしてよいのか
分からない。勝手がわからない。友達いない。でも授業は受けて勉強して大学は卒業しなくちゃね
みたいな。…にしても授業にはもう今さら付いていける気がしないし、このままでは詰む。
せめて苦楽を共にする仲間が欲しかった。仲間がいれば耐えられるかも知れない。
そう思った僕は、そこで友達作りをしてみようと試みた。


だが、それはなかなかに困難なチャレンジだった。周りの学生は自分と生態系が異なり
すぎるように思えた。当時の僕のもっぱらの興味は、フィーダー線をどの方角に何センチの
長さに切りだして使えばFMラジオのアンテナとして最大の効果が出るのか、だとか、
曇りの日は雲に電波が反射するから遠くのラジオ局も聞こえるんだぜ?(ドヤ!)
みたいなとこにあったから、「車、女、セックス、トレンディードラマ」な会話には
付いていける気がしなかったし、付いていきたいとは全く思えなかった。
そしてたどり着いたのが今日の日記のタイトル。


僕は学校に相談したのだ。どうやったら友達ができますか?って。そうしたら親切な職員の方が
僕のために何時間も時間をさいてくれて、こんなことをアドバイスしてくれた。



「天気の話をすれば誰とでも友達になれるから心配しないでもいいんだよ」



だから僕はこの日記を読んでいるあなたに言いたい。本日は晴天なりですね!(ニコ)
友達?大丈夫、想像通りです。




fin.